Webサイトへ訪問してくれたユーザー数が、なかなかCVにつながらず、悩んでいる担当者の方もいるでしょう。本記事では、CVRを上げる方法としての打ち手、参考にすべき平均値などについて詳しくご紹介します。CVRで悩んでいるWeb担当者などは、参考にしてみてください。
※CVRを上げる方法のみ知りたい方はこちらをクリックして記事の後半からご覧ください。
CVRを上げるためのロードマップ
CVRを上げるといっても、実施可能な対策は幅広く、少し調べただけでもさまざまな方法があります。どこから手を付けるべきか悩ましいと感じる担当者の方も多いでしょう。
CVRを上げるための打ち手は、改善すべき箇所の優先順位を決め、最も影響すると考えられる方法から優先順位を付けて実施していく必要があります。
改善箇所の優先順位の付け方
- アクセスやインプレッションが大きい
- CVまでの距離が近い(例:資料請求・単品通販のフォーム入力など)
- 導線内で次のアクションへの遷移率が低い(例:フォーム入力→入力完了・送信への遷移率が低い)
上記3つの条件を満たす箇所が、改善したときに最も影響を得られます。そのため、CVRを上げるための打ち手を実施する前に、自社のサイトやランディングページの現状を把握し、最も改善すべき箇所に検討を付けておく必要があります。
たとえば、フォーム入力で離脱した値が高い場合はフォームの改善が必要になり、ファーストビューでの離脱率が高いのであれば、ページの内容やターゲットを見直す必要があるでしょう。
したがって、CVRを上げる手順は次のようになります。
- 現状の数値を把握する(流入数・リピート数などCVRにかかわる指標を確認する)
- モデルケースとの乖離を出して目標(理想となる値)を設定する
- 現状を分析し、改善箇所の優先順位を決め、どの打ち手から実施すべきか検討する
- 実施した打ち手が効果的だったか検証する
以降では目標設定するためのCVR平均例を紹介し、後半でケースごとの打ち手を解説します。自社の現状と比べながら、施策の参考にしてください。
CV(コンバージョン:Conversion)とは、WebサイトやECサイトなどにおける成果のことです。たとえばリード獲得を目的とした施策なら、ユーザーの資料請求やサービスへの問い合わせ、ホワイトペーパーダウンロード、メールマガジン登録など。一般消費者向けに運営しているECサイトなら、商品やサービスの購入などがCVに該当します。ユーザーのどのような行動をCVと定義するかは、施策の目的、Webサイト運営者・企業によります。
CVR(コンバージョン率:Conversion Rate)はサイトへの訪問数や広告の閲覧数のうち、どれくらいCVにつながったかを割合にした数値です。
計算式
コンバージョン率(%)=CV数÷セッション数×100
CVRの平均との乖離を確認する
CVRを上げる施策が必要かどうかは、自社と同様の業界・集客方法における平均値などと比較して判断しましょう。平均値と比べて低ければ施策が必要ですが、平均より高ければこれ以上CVRを上げる余地が少ない場合もあります。
CVRの平均値は、集客方法(Webサイトやランディングページ、メールマーケティング、広告の種類)、業界・業種によって大きく変わります。たとえば、BtoB向けのリードを獲得するために「ホワイトペーパーをダウンロードしてもらう」のと、「サービスへの問い合わせをしてもらう」のでは後者の方がハードルも高く、CVRは低くなる傾向にあります。
正しく判断するためにも、できる限り自社の施策と条件の近いCVRを参考にしてください。一例としてランディングページにおける業界ごとの平均CVR、ECにおける業界ごとの平均CVRを以下にしましました。ただしいずれも海外市場のデータであることをご留意ください。
業界別 平均CVR:Google広告(リスティング・ディスプレイ)
業界 | リスティング 平均CVR(%) | ディスプレイ 平均 CVR (%) |
---|---|---|
自動車 | 6.03 | 1.19 |
BtoB | 3.04 | 0.80 |
BtoC | 6.64 | 0.98 |
恋愛・マッチング系 | 9.64 | 3.34 |
EC | 2.81 | 0.59 |
教育 | 3.39 | 0.50 |
人材 | 5.13 | 1.57 |
金融・保険 | 5.10 | 1.19 |
健康・医療 | 3.36 | 0.82 |
家庭用品 | 2.70 | 0.43 |
産業・工業サービス | 3.37 | 0.94 |
法律 | 6.98 | 1.84 |
不動産 | 2.47 | 0.80 |
IT | 2.92 | 0.86 |
旅行・観光 | 3.55 | 0.51 |
※電話・フォーム入力・購入などをコンバージョンと定義したCVR
出典:Word Stream 「Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]」Average Conversion Rate
業界別 平均CVR:EC
業界 | 平均CVR(%) |
---|---|
美術・工芸 | 4.7 |
ベビー・子ども | 0.9 |
車・オートバイ | 1.3 |
電気・商業機器 | 1.1 |
ファッション 衣類・アクセサリー | 1.7 |
食品・飲料 | 1.3 |
健康・福祉 | 3.7 |
キッチン・家庭用品 | 2.9 |
ペット用品 | 2.1 |
スポーツ・娯楽 | 1.6 |
玩具・ゲーム・コレクターズ | 1.6 |
出典:IRP Commerce 「Ecommerce Market Data and Ecommerce Benchmarks」 より集計・小数点第2以下切り捨て
CVRを上げる方法10選
ここからはCVRを上げる方法を、ユーザーの不一致、離脱防止、興味喚起、CTA改善、CVの変更に分けて紹介します。自社のWebサイトやランディングページの指標を確認し、改善の優先度が高い箇所とこれからご紹介する方法を照らし合わせ、自社に合った施策を計画してください。
1.ペルソナに合ったユーザーを集客しているか確認
まずは自社のサイトやページ・広告などで実際に集客できているユーザーと、本来集客したかったターゲットのペルソナにズレが生じていないかどうか確認しましょう。
本来集客したかった層と実際集客できた層にズレがあれば、コンバージョンしにくくなり、CVRが下がります。そのうえ、ターゲット外の集客にコストを費やしてしまいます。正しいターゲットにリーチできる集客方法になっているか、商材やサービスに合致したターゲット像を設定できているか確認しましょう。
たとえば、ターゲットがどの購入フェーズであるかによっても、適切なアプローチ方法は変わります。以下にAIDMAの法則(ユーザーが購入・意思決定をするまでの流れ)に応じた施策イメージを整理しました。
AIDMA | ユーザーの購入フェーズ | 施策の目的 | 施策内容例 | 集客方法(チャネル) |
---|---|---|---|---|
Attention:注意 | 自社サービスや商品を知らないユーザー | 注目して覚えてもらう・認識してもらう | ユーザーの悩みや課題などに寄り添うコンテンツをつくる | 自然検索流入 広告 |
Interest:認知、関心 | 自社サービスや商品にまだ関心がないユーザー | 関心を持ってもらう・理解してもらう | 悩みや課題を解決するコンテンツで注意を引いたのち、自社サービスや商品を提案する | オウンドメディア ランディングページ サービスや商品のページへ遷移 |
Desire:欲求 | 興味はあるものの購入意思がないユーザー | 購買意欲を引き出す | 自社サービスや商品を利用することによってユーザーが得られるメリットを具体化する 実績・導入事例コンテンツなどを活用して、ユーザーが利用イメージを明確に描けるようにする | オウンドメディア記事で紹介 ランディングページ内で紹介 サービスや商品のページへ遷移 |
Memory:記憶 | 購入意思はあったが、自社サービスや商品を忘れているユーザー | 思い出してもらう(機会の掘り起こし) | キャンペーンやセールなどを用いて、顧客が自社サービスや商品を再接触する機会をつくる | メールマーケティング リターゲティング広告 プッシュ通知 |
Action:行動 | 購買意欲は高まっているが、購入機会がないユーザー | ユーザーが自社サービスや商品を求めているタイミングに購買機会を提供する | ページ内でユーザーの購買意欲が高まる位置にボタンやフォームを設置する 購入タイミングで接触できるよう、メールマーケティングや広告で接触機会を増やす | ステップメールなどによるメールマーティング(ナーチャリング) リターゲティング広告 CVへの導線の見直し |
使用するチャネル、設定しているターゲット像、流入先となるコンテンツが一致していなければ、ユーザーはニーズが満たされないので離脱してしまいます。ユーザー視点で一貫性があり、ニーズに答えられる設計を目指しましょう。
ペルソナとは、自社のターゲットとして想定される架空のユーザーを意味します。たとえば、年齢やライフスタイル、居住エリア、年収、自社の商品やサービスについてどの程度認識しているか、どのような悩みを抱えているのかなどを、物語を作れるくらい具体的に設定します。
離脱させない
アクセスやインプレッションはあるのに、CVにつながらないとき、ユーザーはページのどこかで離脱しています。どれだけアクセスを集めても、離脱率を下げなければCVRを上げるのは困難です。ヒートマップ、アナリティクスなどのツールを活用し、どこで離脱しているかを特定して対策しましょう。
2.フォームを最適化する(EFO:Entry Form Optimizationの実施)
CVRを上げる情報において最も優先度が高いのはフォームの最適化です。フォームにたどり着いているユーザーは非常に購買意欲が高く、最もCVに近いユーザーです。フォームの仕様で諦めていたユーザーをケアできれば、CVR改善に大きな効果があります。
フォーム入力におけるストレスポイントをなくし、ハードルを下げ、できる限り離脱されてしまう理由を減らしましょう。目指したいフォームの一例を次に示すので、参考にしてください。
フォーム最適化のアイディア
- 一目でわかるデザイン
- スクロールさせない
- ページ遷移させない
- 何をすれば良いかわかりやすい
- 入力項目は必要最低限にする(任意項目は可能な限り減らす)
- 自動入力・自動変換機能
- ふりがな
- 郵便番号から住所入力
- 半角と全角の変換
- 入力エラーはその場で表示させる(画面遷移させない)
- 誤操作による離脱を防止するための確認画面表示
- 入力履歴の保存で再訪問時の入力負担を減らす
3.ユーザーのストレスになるものを取り除く
CTAにたどり着く前に離脱されないよう、ページやコンテンツそのものにおいてもストレスフリーを心がけましょう。とくに次のようなページの問題は、ユーザーが即座にブラウザバックしてしまう要因になるため、早急に解決してください。
- レイアウトが崩れている
- ページの表示が遅い
- ボタンが小さく、タップできない
- 文字が小さく、読みにくい
- 広告バナーが大きい・オーバレイでコンテンツが読めない
またコンテンツそのものの「読みやすさ」「わかりやすさ」も重要です。どのデバイスで見ても読みやすいレイアウトか、冗長な表現や専門用語でわかりにくくなっていないかなども確認しましょう。ユーザーが他のサイトに行ってしまう要素をできる限り取り除くことで、コンバージョンにたどり着くユーザーが増え、CVRもアップします。
4.Web接客で不安や疑問を取り除く
Web接客とは、Webサイトへアクセスしたユーザーに対してチャットボットやポップアップなどを用いて、サポートしたり、サービスや商品を案内したりする施策のことです。
チャットボットにはチャット画面を表示させることで、ユーザーが疑問・不安を書き込み、担当者がリアルタイムで対応できるものもあります。その場でユーザーの不安や疑問点を解消できるので、離脱率を改善し、CVRの向上につながります。
5.購買に近いページへ誘導する
前段で紹介したように、ユーザーの心理状態は状況に応じて変化します。ユーザーによって購買意欲の高さやサービス・商品に対する関心度などが異なるため、ニーズに沿って興味を持ってもらいやすい広告やページ作り、誘導も必要です。
たとえば、オウンドメディアの場合なら、悩み・課題を解決する記事は、ユーザーのニーズが潜在的なためコンバージョンから遠くなる傾向にあります。こうしたコンバージョンから遠い記事は、商品を比較検討する記事などに誘導することで、CVRが上がりやすくなります。
興味を持ってもらう
Webサイトやランディングページの滞在時間が短いなど、ユーザーの興味を引き付けられていないケースもあります。集めたアクセスをコンバージョンにつなげるため、CTAまで興味を持続させる仕掛けも必要です。
6.動画やGIF・ポップアップ表示などで注意を引く
商品ページやランディングページなどの場合は、状況に応じて注意を引ける動画・GIFコンテンツを利用しても良いでしょう。
とくに動画コンテンツは、テキストで伝わりにくい視覚的な魅力が強い商品や、情報量の多いサービスを理解してもらいやすいです。商品理解が深まれば、CVにもつながりやすくなります。
またサイトを訪問したときにポップアップを表示させれば、キャンペーンやセール情報など、興味を引きやすい情報をアピールすることもできます。
7.実名・権威を活用して信頼性を高める
自社サービスや商品のメリットを説明しても、ユーザーがその情報に納得してくれなければ購買にはつながりません。ユーザーを納得させるため、信頼できる情報であることを示し、説得力・納得感を高めましょう。
たとえば同じ導入事例や実績でも、どのような業態か・誰のものかわからない場合と、実名性が高く、どの会社・どの個人のものかわかる場合では、後者の方がより確実で信頼できると感じられます。また専門家のように権威ある立場の人によるコメントや解説を入れれば、より信頼できる情報が購買理由となり、CVにつながりやすくなります。
CTAを見直す
CVRを上げるためには、コンバージョンに至るための重要なハブであるCTAの改善も欠かせません。CTAは定期的に見直し、可能であればA/Bテストを実施しながら検証していきましょう。
8.CTAの位置や数を調整
CTAの位置や数の調整は強く影響します。CVRを上げる方法として比較的手軽に変更を加えられるため、すぐに試してみましょう。どのような業界でも、次のような位置にCTAを設置するとよいといわれています。
CTAの位置アイディア
- ヘッダーにCTAを入れる
- ファーストビューにCTAもしくはフォームを入れる
- ポップアップにCTAを入れる
- オウンドメディアなどの長いコンテンツ
- 目次下にCTAを設置する
- サイドバーにCTAを置き、追従させる(PC)
- 記事下にCTAを置き、追従させる(PC)
- コンテンツが長いため、多めに設置する
CTA(コール・トゥ・アクション)は、ユーザーに資料請求・購入・問い合わせを促すためのボタン、リンク、バナーなどを指しています。たとえば、商品購入のページへ遷移させる「ご購入はこちらから」といったボタンのことです。
9.CTAにつながる誘導文・コピーを見直す
誘導文は、ユーザーに次の行動へ促すための重要なコンテンツです。そのため、疑問を解決しきれないテキストやサービスや商品の価値が伝わらない内容は、CVRの低下につながってしまいます。
誘導文を作成する際は、ユーザーの求めている情報・悩みに寄り添った内容を盛り込みつつ、商品の強みや概要、購入することで得られるメリット、実績などが自然に伝わるようにしましょう。また、本文やQ&Aの項目でユーザーが悩みやすいポイント、商品に対する疑問点・注意点を解決することも重要です。
10.CVの内容を見直して心理的ハードルを下げる
CVRが伸びにくい理由には、コンバージョンの内容とユーザーの心理的ハードルが関係している場合もあり、見直すべき項目のひとつです。
たとえば、コンバージョンを「問い合わせ」にしていると「情報収集の段階なのに営業をかけられたら嫌だな」と感じるユーザーを取りこぼす可能性があります。BtoCにおいても、価格の高い商品のハードルを下げるために、サンプル申し込みやトライアル申し込みをコンバージョンにすることは多いです。
心理的な負担が少ない、ハードルを下げたコンバージョンへ変更したり、別途用意したりすることで、CVRを上げられるでしょう。もちろんハードルを下げたコンバージョンでは最終的な購買にはいたっていないため、メールマーケティングやリターゲティング広告などで思い出してもらう仕組みつくりも大切です。
心理的ハードルが少ないコンバージョン例
- サンプル・トライアルの申し込み
- 初回のみ安く購入できる
- メールマガジンやLINE友達への登録
- ホワイトペーパーのダウンロード
- セミナーの申し込み
専門家によるコンテンツ監修でCVRを上げる
先述したとおり、専門家によるコメントや解説を取り入れれば、ユーザーからの信頼が高まり、CVRにつながりやすくなります。ここからは、医師監修.comのお客様にもご活用いただいている、専門家コンテンツでCVRを上げる方法について紹介します。
専門家によるコンテンツ監修でCVRを上げる
専門家によるコンテンツ監修とは、記事や画像などのコンテンツを専門家にファクトチェックしてもらうことを指します。
オウンドメディアやホワイトペーパー、顧客向けのメールマガジン、同梱物などのコンテンツでは、ユーザーにとって役立つ情報を発信することが重要です。専門家監修コンテンツが良質なユーザー体験となれば、コンバージョンやリピートにつながりやすくなります。
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ユーザーは、信頼性の高い情報やコンテンツでなければなかなかアクションを起こしてくれません。ユーザーの背中を押す信頼と納得感を生むことで、CVRの向上につながります。
CVRを上げる方法は、自社に沿った優先順位で実施しよう
本記事でご紹介した他にも、CVRを上げる方法は数多く存在します。すべての施策を一度に実施・検証することはできないので、自社の現状を把握し、最も影響が大きいと思われるところから試してみましょう。工数やコストを考慮して、実現可能なものから実施するのも一つの手です。専門家による監修コンテンツは、フォームやサイトの改修などと比べると実施しやすく、手ごろな価格から試せます。医療・健康・美容領域でCVRを上げる方法に悩んでいる方は、ぜひ医師監修.comまでご相談・お問い合わせください。